札幌で2017年から続く〈中国料理 月下翁〉。店主の髙橋シェフが振る舞う料理に、思わず目を丸くした。
味わうたび、いままで抱いていた中国料理へのイメージに新しい彩りが加わる。
今回の取材に際してまず気になったのが、中国料理と珈琲というちょっと意外な組み合わせ。
月下翁では、開店当初から徳光珈琲のブレンドを使用している。髙橋シェフ曰く、珈琲があるとほっとするんだとか。
徳光オーナーが店の料理に合わせて仕上げたというオリジナルブレンドは、濃すぎず軽すぎず、バランス良くまとまっている。
料理の最後にふさわしい香味をイメージして、珈琲としてだけでなく、エスプレッソとしても楽しめるよう、こっくりとした味わいにしたそう。
そんな徳光珈琲のお供には、手づくりの杏仁豆腐を。
杏仁豆腐のまろやかな風味と珈琲が絡み合い、月下翁で過ごした時間が美しく締まる。
そもそも中国料理というと、一皿ずつの量が多いイメージ。
何人かで料理を囲んで取り分けながら、色んな料理を楽しみたくなる。
しかし、ここ月下翁では、一人で食事をするお客さんも多いのだとか。
一人でも存分に楽しめるわけは、どの料理もちょうど良い量で、やさしい味にある。
料理へのこだわりを髙橋シェフにうかがうと、中国古来の「食養生(=体質や健康状態に合わせて食事をとる)」という考え方を取り入れ、季節に合わせた味付けを心がけているのだという。
髙橋:うちの料理って、いい意味で色がないんです。尖った味付けはしないし、派手な飾りもしない。メインとなる素材の良さを生かすために、必要な食材だけを加えるようにしてます。
あと、中国料理において最も重要なのは、火の入れ方。中国料理というと、強火で調理するイメージもあると思うんですが、僕はそこまで強火にしない。例えば、野菜においては、芯までちゃんと火を入れつつも、本来の食感を残しながら素材の良さが消えないように意識していますね。
髙橋シェフの素材の向き合い方から生まれる作品は、やさしさもありながら、大衆の中華料理のイメージを覆すような、洗練された料理だった。
いつしか北海道の中国料理が注目されることを夢見て腕を振るう姿は、今こそ目に焼きつけておきたい。
札幌ではまだ珍しいと言われる月下翁のスタイルが、今後どのような盛り上がりをみせるのか楽しみである。
そして、食事をしながらふと思ったことがある。
不思議と、一人で過ごしている感じがしないのはなぜだろう。
それは、メニューの相談にも気軽に応じてくれる、店の柔らかい接客なのか。
はたまた、月下翁に集まるお客さんの雰囲気がそうさせるのか。
店名の由来ともなる、中国の縁結びの神様「月下老人」が
今宵も中国料理で人々の身も心もあたため、縁を紡いでいるようだ。
【徳光珈琲からのメッセージ】
現在のお店の前にシェフとして腕をふるっていたyinzu時代からのお付き合いになります。
無化調でここまで!!という味わいは素材の旨味を最大限に引き出す技術の賜物ではないでしょうか。
中華と珈琲の組み合わせはなかなかないですが、求める方向が近いので、やはり寄り添う珈琲をブレンドさせていただきました。
今のお店はオープンキッチンなので、髙橋シェフとの会話も楽しみながら、暑さに負けず無駄のない動きで鍋を振るっている姿は見ていて飽きないですね。
これからもよろしくお願いします!!
〈店舗情報〉
北海道札幌市中央区南3条西3丁目 Gダイニング札幌 地下1階